労使トラブルの解決事例

社員の判断でした残業も、残業代を支払わなければならないか?

事件の概要

コンピュータソフト製作会社のA社の開発部には、部長以下六人の社員がいる。これまでは、ほぼ所定の勤務時間で部内全員が仕事を終えていた。だが最近、新ソフトの開発がいきづまり、残業する部員が出てきた。同部の部長は陰で困った上司といわれている人。これまで、とくに残業をする必要はないと考えていたため、残業を行なう部下がいることは認識していたものの、所定時間外労働を命じたり、指示したりしたことはなかった。

しかし、部員のBさんが会社に残業代の支払いを求めたところ、「部長の命令もなく勝手に行なった残業だ」という理由で、会社はこれを拒否。困惑顔の部長をはさんで、がぜん労使の対立となってしまった。

会社の言い分

「命じてもいないのに社員が自分の判断で勝手に残業したのだから、その分の賃金を支払う義務はない。業務命令にもとづかない残業は労働時間として認められないことを知らんのか」

労働者の言い分

「会社のために働いたのだから、賃金をもらうのは当然だ。部長だって残業を黙認していたはずだ」

NC労務より解決提案

命令なしの残業でも追認されれば支払い対象になる

Bさんには残業代が支払われる可能性が高いと考えられます。

第17項でみるように、使用者による業務の明示的な指示がない労働時間でも、黙示的な指示があると認められる場合には、正規の労働時間として取り扱われることになるからです。

原則としては、会社は、業務命令にもとづかない業務(この場合は残業)は労働時間として取り扱う必要はありません。

Bさんのケースでは、使用者(この場合は直接的には部長)としても残業を行なわせる意図はありませんし、かつその必要性もないと考えていました。

この点だけみると、Bさんの残業は、個人が勝手に行なったものであり、労働時間として認められそうにありません。

しかし、Bさんが行なっていた残業は、直接業務に関連するものであり、事業場として開発がいきづまっているという特殊な事情がありました。

Bさんのケースでも、こうした事情から残業に客観的な必要性があったと認められれば、会社はこれを労働時間として扱わなければなりません。

さらに、部長はBさんが残業を行なっていることを認識していましたし、一般的に部長には部員の労働時間を管理する責任があるものと考えられます。

部長が部員の労働時間を管理する義務を負っている以上、自分が残業の必要性についてどのように認識していたかにかかわらず、Bさんの残業を追認したものと考えられます。

使用者が追認したのであれば、やはり残業時間が労働時間として取り扱われる可能性が高いでしょう。

ケースによっては早出・残業が認められないことも

ただし、命令なしの時間外業務が、どんな場合でも賃金支払いの対象になるとはかぎりません。

たとえば、住み込みの従業員が早出・残業をしたことについての判例があります。それは、就業時間の前または後にした労働であっても、その日または翌日の就業時間中にすればたりるものは、自発行為であって、早出・残業にはならないとしたものです。

したがって、命令なしの時間外労働については、個々の事情に即して判断する必要があります。

つけ加えれば、このケースで問題なのは、直接の使用者である部長の態度だということです。

労働時間の管理は使用者の義務であり、使用者が「残業は不要である」ときちんと判断する場合には帰宅命令を行なうべきです。「残業が必要」と認識するなら、その旨、指示をしなければなりません。

上司のあいまいな態度、無責任さがトラブルを招いたといえましょう。

その他の解決事例

就業規則・労使トラブル相談受付中!

お電話は03-3292-0703まで

ご相談・お問い合わせ

〒101-0054
東京都千代田区神田錦町1-12-3
第一アマイビル1階

NCパートナーズ

ネットde顧問

労働保険・社会保険手続き代行

会社を鉄壁にする!NC労務consultingとは

労使トラブルの解決事例

特別加入 中小事業主特別加入制度

出版書籍のご案内

茂木会計事務所

優真税理士法人

税理士法人48

ページの先頭へ